人気店の経営者ほど謙虚だと思う。飲食店の事例を紹介しよう。経営者夫婦とパートできりもりするこの店は「車で50分かけて来た」「4回足を運んだけれどいつも満席。5回目でようやく入れた」という人気店。
ここで問題。わざわざ遠くから来たお客様が満席で入れなかった時。あなたならどうする?人気店の経営者になったつもりで考えてみよう。応えの選択肢は2つ。ひとつめは「また来てくれるから大丈夫」と、ほっておく。ふたつめは「わざわざ足を運んでくれたのに申し訳ない」と、何かする。
さて、あなたはどっち?先の経営者は「申し訳ない」と考えるタイプ。そこで満席で入れずに帰るお客様には「ごめんなさい」と、次回使える1品サービスチケットを渡している。このチケットの回収率は、ほぼ100%。この%から経営者の謙虚な気持がお客様に伝わっているのがわかる。
さらに、「忙しくて1人1人のお客様に丁寧なもてなしができないのは申し訳ない」と考えた経営者は定休日を増やした。理由はこうだ。忙しいとスタッフの身体がキツイ。身体がキツイと余裕がなくなり丁寧なもてなしが出来ない。まずはスタッフの体調を優先しよう。
人気店の経営者はスタッフにも謙虚だ。結果は定休日が増えても、売上は減らず、逆に増加した。
なぜ謙虚なのか?それは、人気のある時ほど注意が必要なことを、経営者が知っているからだと思う。人気がなくなる「芽」は、人気がなくなってから育つのではない。人気のあるうちに育ち易いのだ。考えてみてほしい。人気店ほど忙しい。忙しいと料理や接客も「おざなり」になり易い。ところが、この「おざなり」が重なると、少しずつお客様が離れてしまう。昔は流行っていたのに、今は暇という店は、忙しい時におざなりになる芽をつんでおかなかったのだ。
あなたの店が、うまくいっていて、今忙しいとしたら、ひそかにおざなりの芽が育っているかもしれない。これは最大のピンチだ。「ピンチはチャンス」という言葉がある。たしかにそうだ。でもここで言うピンチの意味はちょっと違う。「ピンチはうまくいかない時」ではなく「うまくいってる時」だ。この発想が謙虚な経営の原点になる。
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