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第35回


高橋幸司

有限会社高橋幸司の事務所取締役社長。価値負けしない店・人づくりマン、中小企業診断士。お客様に「あなたの店がないと、私、困っちゃう」と言わせる、存在価値で負けない店づくりを志向。商売大好きオーナーの店だけを一所懸命コンサルティングするかたわら、社員教育、マーケティングセミナー、創業塾、各種講演、執筆、ラジオ出演もどんど んこなす。
1966年福島県生まれ。

「感情移入」
 タイトルに悩んだ時、あなたはどうしているだろうか?DM(手紙、FAX、メール)のタイトル、チラシのタイトル、看板、POP。経営者かつ販促担当のあなたは、本文は書けてもタイトルが決まらずに前に進めなかった経験があるのでは。そんなあなたにオススメなのが感情移入。感情移入の対象はもちろん読み手。読み手は顧客、または顧客予備軍。彼らが喜ぶ言葉。あっ、私のことだ!と瞬きをとめる言葉。へぇー、そうなんだと、頷く言葉を想像できれば最高だ。

 たとえば、ブティックの秋のDM催事。ハガキに書くタイトルが「オータムフェアー」だと、あっさりしすぎていて記憶に残りにくい。そこで、顧客に感情移入してみる。すると、秋は旅行や同窓会が多いことに気づく。まずは、旅行で感情移入してみる。彼女たちのアドレナリンが出る瞬間は、ズバリ、旅行自慢をする時。そのタイミングは旅行前と後の2回ある。すると、こんなタイトルはどうだろう「秋の旅行の計画を教えてください(教えてくださいを大きく)」また、そのDMで来店したら「お土産話聞かせてください。楽しみにしています」と、購入にかかわらず自負心をくすぐる言葉をそえよう。

 次に同窓会。こちらは、「このスーツなら今度の同窓会ヒロインになれる!かも?(ヒロインになれる!を大きな文字で)」もうひとつ「いくつになっても恋は恋、初恋の人をメロメロにさせちゃう!かも?(メロメロにさせちゃう!が大きな文字)」そのDMで来店したら、購入にかかわらず「今度、同窓会の写真見せに来てくださいね」と自負心をくすぐる言葉をそえよう。
 次はPOPも感情移入して書いてみる。実は、ワープロで作った「見るだけ歓迎」というシンプルなPOPで、入り易い雰囲気づくりに成功している店が、陶器店、ブティックなど複数ある。これも、お客様に感情移入して浮かんだメッセージだ。実は、お客様は店に入りにくいのではなく、何も買わないと出にくいのが本音。さすがに、買わなくて結構、とは書けないので、見るだけ歓迎、となったのだ。

 さらに、その好反応を見たお隣の寝具店の店主は、高額布団をうらめしそうに眺めるお客様に感情移入し「触るだけ歓迎」のPOPをつけた。店主はこの布団に関して、100回声をかけると1枚売れるというデータをもっていたが肝心の声をかけるきっかけがつかめず悩んでいた。ところが、この「触るだけ歓迎」1枚で、お客様が遠慮なく商品に触るようになり、高額布団の売れ行きが良くなったと言う。すると、「座るだけ歓迎」「話すだけ歓迎」はどうか?と異業種の周辺の店主もどんどんPOPを考え始めた。

 感情移入のコツは、自分が読み手の立場になることだ。経営者のあなたなら、お客様になること。手っ取り早いのは他店で買物してみることだ。すると、容易にお客様のスイッチが入り感情移入できるはず。