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第33回


高橋幸司

有限会社高橋幸司の事務所取締役社長。価値負けしない店・人づくりマン、中小企業診断士。お客様に「あなたの店がないと、私、困っちゃう」と言わせる、存在価値で負けない店づくりを志向。商売大好きオーナーの店だけを一所懸命コンサルティングするかたわら、社員教育、マーケティングセミナー、創業塾、各種講演、執筆、ラジオ出演もどんど んこなす。
1966年福島県生まれ。

「小さな答えも有は有」
 「ほんとうは〜したい」「創業時は〜していた」。実はこの言葉が、私のコンサルティングの方向性を良い方向に変えた言葉だったのです。 私が経営コンサルティング事業を始めたのは1998年2月。コンサルタント会社での修行経験もなく顧客ゼロからスタートした私は、始めの3年間コンサルティング依頼が少なく、赤貧の時代を過ごしました。
 当時の私は、仕事をいただくと、業界情報を含めて事前にめいっぱい予習し、答え、つまりアドバイスを前もって準備してからコンサルティングに向かいました。しかし、前もって準備した答えは経営者の琴線に触れることはなく、思うように成果が上がりませんでした。当然、コンサルティング先の業績が伸びなければ、私の報酬も変化しません。ちなみに、創業時から3年目までの私の年商は、それぞれ10万円、60万円、140万円でした。
 3年目の決算を終えて、このままじゃいけない、と考えた私は、過去のコンサルティングを振り返りました。すると、少ないながらも、成功事例があり、その事例には共通点があることに気づいたのです。それは、コンサルティングがうまくいった時は、私が前もって準備した答えをアドバイスした時ではなく、経営者の皆さんの頭にある答えを引き出した時だった、ということです。

 同時にその答えを引き出す質問にも気づきました。それは「ほんとうはどうしたいですか?」「創業時はどうやってましたか?」というものです。すると、相手の引き出しが開いて、ほんとうは、もっとDMを出したい。ほんとうは、レイアウトを変えたい。前はPOPをたくさんつけていた。こうした本音、つまり答えが出てきたのです。引き出したばかりの答えの多くは小さくぼんやりしたものでした。しかし、それを育てていくと、大きく確かな答えになり、丁寧に行動していただいた途端、おもしろいように結果がついてきたのです。この時、業績アップの答えは97%経営者の皆さんの頭の中にあることに気づきました。コンサルティングは残りの3%、スパイスにすぎないこと。第一ボタンは、いかに答えを引き出すかだったのです。
 私たち人間は、こうしたほうがうまくいく、という答えを教えられても琴線に触れなければ、行動しません。心のどこかでそっくりカンニングしてうまくいくのは、学校のテストだけだと思っているのかもしれません。そうは言っても自分で出した答えは、小さくて不安なものです。でも、それは無ではなく、有なのです。無は大きくできませんが、有ははじめ小さくても必ず大きくできます。こう考えると、自分の答えに自信がもてるのではないでしょうか。