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第31回


高橋幸司

有限会社高橋幸司の事務所取締役社長。価値負けしない店・人づくりマン、中小企業診断士。お客様に「あなたの店がないと、私、困っちゃう」と言わせる、存在価値で負けない店づくりを志向。商売大好きオーナーの店だけを一所懸命コンサルティングするかたわら、社員教育、マーケティングセミナー、創業塾、各種講演、執筆、ラジオ出演もどんど んこなす。
1966年福島県生まれ。

「頭に電球が光る時」
 ご存知だろうか?お客さまの頭に電球がピカッと光ると商品が売れたり、店は卒業されにくくなることを。まずは衣料品店のエピソードから。
 この衣料品店の商品は、ウィズやルーシーを読む女性向きで、通勤にも普段着にも使いまわせるものが多い。店員は女性2人。石川さんと栗原さん。
 石川さんは栗原さんより1年先輩。接遇は、上から下までトータルコーディネート、つまり全体提案が得意。殺し文句は「この際、揃えてみませんか」お客様も「石川さんがすすめるなら」と、まとめ買いする方が少なくないと言う。

 一方の栗原さんは「そのスカートに合いますよ」と、お客様の着ているものに、店の商品を合わせる、部分提案が得意。すると「ほんとだ!」と、気づくお客様が多いと言う。
 2人の店員それぞれの、お客様の購買履歴を分析してみた。分析前の仮説はこうだ。部分提案の栗原さんよりも全体提案の石川さんの方が売上が高いに違いない。ところが、購買点数、客単価、プロパー消化率は、石川さんが高かったが、客数と総売上は栗原さんの方が上だった。
 また、顧客名簿を分析すると、新規客の獲得数は2人とも同じ位だが、栗原さんには店を卒業せず、長く通ってくださる顧客が多いことが分かった。さらに、石川さんは栗原さんのお客様を観て「栗原さんのお客様は、どんどんオシャレになって、センスが良くなっていくみたい、でも私のお客様は・・・?」と、コメントしている。

 ここでフラワーアレンジや華道教室に話を移す。人気のある教室とそうでない教室の違いは何か?料金やカリキュラムはもちろんだが、最も重要なのは先生の教え方だろう。あるフラワーアレンジを主宰する先生(♀)に過去自分が教室に通っていた時のことを聞く機会があった。彼女いわく「最初、華道教室に通いましたが、長く続きませんでした。その先生は、私が生けたお花を、全て外して生け直す教え方だったのです。当然出来ばえは良いのですが、自分の作品ではない気がして。次に通ったフラワーアレンジ教室の先生は、私が生けた花を一部だけ生け直して魅せてくれたのです。すると、毎回『ほんとだ!』と気づきがあって、少しずつ上達していく手ごたえも感じられて長く通いました。これがきっかけで、私もフラワーアレンジ教室をはじめました」

 さて、受講生とお客様に感情移入してみよう。全て生け直すことと、一部だけを生け直すこと。トータルコーディネート提案と、今あるものに合わせる提案。どちらが良い悪いではない。受講生やお客様が自ら気づき、楽しくなるのはどちらか。それが重要だ。
 4コマ漫画を想像して欲しい。主人公が何かひらめいた時、頭に電球がピカッ!と光る絵が出てくる。受講生とお客様の頭に電球が光るのは、やはり気づきがあった時だ。この場合、商品の部分提案やお花の一部手直しの時がそれに当る。
 さて、あなたのお客様の頭はどうだろう?その前に、これを読んだあなたの頭に電球が光っただろうか?